かかりつけ薬剤師・薬局のKPIまとめ【厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会議事録より】
第2回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会の議事録と資料から
- かかりつけ薬剤師・薬局に係る評価指標
- KPIの設定
に関してまとめました。
議事録はこちらです。
第2回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録(2017年6月22日) |厚生労働省
資料はこちらです。(PDF)
当記事の画像はこの資料のコピーを使用しています。
かかりつけ薬剤師・薬局に係る取組の評価について
かかりつけ薬剤師・薬局の取り組みの評価として
- 薬局機能情報提供制度の項目を拡充する
- 薬剤師・薬局の実態に係る調査を実施する
の2点があげられております。
薬局機能情報提供制度の拡充とKPIの設定について
赤字が薬局機能情報提供制度の項目の追加予定です。
- 地域におけるプレアボイドの取組
- 地域医療情報連携ネットワークへの参加の有無
- 退院時カンファレンスへの参加体制の有無
- 医師への受診勧奨に関する情報等の提供体制の有無
- 副作用報告の実績
- ヒヤリ・ハット事例収集の取組の有無
青枠がさらにKPIとしても利用予定の項目です。
- 地域ごとの地域包括ケアシステムに関する内容を含む研修(健康サポート薬局研修)を修了した薬剤師の人数
- 患者情報の一元的・継続的把握のための電子薬歴の導入の有無
- 患者情報の一元的・継続的把握のための電子お薬手帳への対応の可否
- 在宅業務を実施した件数
- 健康サポート薬局研修を修了した薬剤師が地域ケア会議等の地域の多職種が参加する会議に出席した回数
- 医師へ患者の服薬情報等を提供した回数
一部は先日パブリックコメントが募集されていました。今思うと、「等」とされていたのがこの内容だったようです。
気付きませんでした・・・なぜ省略されたのでしょうか・・・
パブコメの募集が終了してから、今回の議事録を公開するのは解せません。
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KPIの設定・把握
具体的なKPIとして毎年全国集計し、把握するとのことです。
- 電子版お薬手帳又は電子薬歴システム等、ICTを導入している薬局数
- 医師へ患者の服薬情報等を文書で提供した薬局数
- 在宅業務を実施した薬局数
- 健康サポート薬局研修を修了した薬剤師が地域ケア会議等の地域の多職種と連携する会議に出席している薬局数
KPIによる評価は必要なのだと思いますが、この4点を集計して「患者のための薬局ビジョン」の進捗状況を把握・評価できるのか疑問です。
北澤委員の発言と患者満足度調査について
京都薬科大学客員教授 北澤京子委員の発言の抜粋です。(太字は筆者追記)
資料2-2の「かかりつけ薬剤師・薬局に係る評価指標について」なのですけれども、ここに示していただいたとおり、いろいろな指標を新たに集めるということで、特にKPIの設定についての指標について、これらは確かに客観的で量的に把握しやすい指標で、情報を集めるのは、今後のかかりつけ薬剤師・薬局の発展ということでもよいと思っています。しかし、一方で、かかりつけ薬剤師・薬局で重要だと私が思うのは、実際に薬剤師さんと患者が信頼関係を築き、いつでも相談できるとか、それによって安心できるかとか、あるいは結果的にそれによって有効で安全な薬物療法が受けられたかどうか、そういった患者のアウトカムが一番重要だと思います。
ここに挙げられている指標の中では直接的に患者に対する指標がそれほどありません。患者さんがどれだけ満足できたかといったものは測定が難しい面もあると思うのですけれども、そういった質的なレベルアップといったことをおろそかにしないように、指標として、この中に入れるというのは無理なのかもしれないのですけれども、患者の信頼を得るところを忘れずにいてほしいと思っています。
厚労省の紀平医薬情報室長の回答です。(一部抜粋)
1ページ目の2のところの実態調査では、こちらに書いてありますとおり患者さんの意識とか満足度の調査も行って、そういったものと、あるいはこういった項目との関連性みたいなものを引き続き調査を進めていきたいと考えております。
資料では患者意識や満足度の調査は「必要に応じて」となっておりましたが、今後調査されるのでしょうか。
あやしい・・・
感想
かかりつけ薬剤師制度による
「患者さんの安全・安心」
「医療機関との連携」
「医療費削減効果」
は今後どう評価されていくのでしょうか。
私はKPIだけでは不十分なので、満足度調査もやって欲しいと思います。
議事録を公開してからパブリックコメントを募集するべきだと思うのですが、なぜ2ヶ月もかかったのでしょうか。非常に一般の意見が届き難い環境だと感じます。