副作用のモニタリングと副作用報告(医師と連名)について【医薬品医療機器制度部会の議事録より】
先日、第2回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会の議事録が公開されました。
「かかりつけ薬剤師・薬局に係る評価指標」や「スマートドラッグへの対応について」等も議題にありましたが、今回は「医薬関係者による副作用報告の推進に向けた取組について」です。
詳細は議事録よりご確認下さい。
www.mhlw.go.jp
尚、引用は全て一部抜粋、下線は筆者が追記しております。
副作用のモニタリングに関して
日本医師会副会長 中川俊男委員の発言の抜粋です。
主な副作用の内容、副作用の発現時期・発現期間等を、患者さんに薬を渡すときに、薬局が一生懸命説明するという意味ですか。
この発言の後、
リスクの高い医薬品の初回交付時などにと、こちらで省略をしてはだめでしょう。全然意味が違います。全ての医薬品でこうやろうと見えてしまうではないですか。
と厚労省が押し切られています。
つまり、副作用報告は連名となった背景に「副作用のモニタリングはリスクの高い医薬品の初回交付時のみでよい」という考え方があると解釈できます。
決してそれでいいはずがありませんが、個別指導での理論武装には使える内容かもしれません。
厚生局の個別指導や監査では「継続的に重大な副作用のモニタリングをしているか?」が問われます。
特に特定薬剤管理指導加算(ハイリスク薬)では毎回モニタリングが必要とされます。
薬歴や薬情に記載漏れがある場合に、今回の件(副作用のモニタリングはリスクの高い医薬品の初回交付時のみでよいという解釈)を指導官に確認して、時間稼ぎができるのではないでしょうか。
【個別指導で時間稼ぎが重要という関連記事です】
www.yossy-ph.com
※議事録に厚労省の見解が記載されている訳ではありませんので、あくまでも時間稼ぎ程度だと思います。(戦闘モードで挑む人限定です。)
副作用報告に関して
中川委員の発言の一部抜粋です。
薬局から単独というのは、先ほど言いましたけれども、どうしても通報に見えるのです。これはやはり穏やかではないです。その辺のところ、最後の○は「連名を検討」ではなくて「連名を前提」とか、表現をもう少し丁寧にしてください。
副作用の報告は薬剤師の義務です。
薬機法より抜粋
【副作用等の報告】律第68条の10第2項
薬局開設者、病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者又は医師、歯科医師、薬剤師、登録販売者、獣医師その他の医薬関係者は、医薬品、医療機器又は再生医療等製品について、当該品目の副作用その他の事由によるものと疑われる疾病、障害若しくは死亡の発生又は当該品目の使用によるものと疑われる感染症の発生に関する事項を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、その旨を厚生労働大臣に報告しなければならない。
厚労省ポスターの一部です。全体は医師会発行の医薬品・医療機器等安全性情報報告制度の周知について(PDF)より確認できます。
報告と通報の言葉の意味の違いはそれほどないはずです。
なぜ薬剤師が単独で副作用を知らせて穏やかでないのでしょうか?
私は今まで、副作用が疑われる場合は必ず医師に報告してきました。
しかし、「薬剤師単独では副作用報告をできない」とするのはちょっと違う気がします。
現時点でPMDAの副作用報告の様式は連名になっていません。
副作用報告の"推進"は、今後どうなるのでしょうか。