スマートドラッグへの対応・医薬品の個人輸入についてのまとめ【第2回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会より】
第2回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会の議事録及び資料から下記についてまとめました。
- スマートドラッグへの対応
- 医薬品の個人輸入について
議事録はこちらです。
第2回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録(2017年6月22日) |厚生労働省
資料はこちらのリンクの4-1と4-2です。
医薬品医療機器制度部会審議会資料 |厚生労働省
いわゆる「スマートドラッグ」への対応について
引用は資料4-1の一部抜粋です。
経緯
いわゆる「スマートドラッグ」について、現在のところ、国内で用いられている品目や量、健康被害の実態等ははっきりとは分かっていない。
(中略)
「スマートドラッグ」を保護者が児童・生徒に服用させる事例があると報道されており、児童・生徒における心身の正常な発達を妨げるおそれや、継続的な乱用や他の薬物への乱用に繋がるおそれがある。
スマートドラッグの使用状況や被害の実態は不明のようです。
大人の薬物乱用は本人の意思で防ぐこともができますが、子供が保護者から勧められた場合は断りにくいはずです。
まずは注意喚起が必要ではないでしょうか。
医薬品の個人輸入について、見直しの検討を進める必要がある。
その通りだと思います。
個人輸入に関して、
医薬品を輸入して他者に販売するのは違法です。
医薬品の輸入を代行して手数料を得るのは違法ではありません。
(広告等の制限あり)
※参考資料個人輸入代行業の指導・取締り等について|厚生労働省より
今流通しているサイトは、違法な広告や偽薬が多く無法地帯だと感じます。
対応の方向性(案)
いわゆる「スマートドラッグ」について、国内に輸入されていると考えられる品目等を把握し、その中で、医師などの専門家が関与せずに児童・生徒や若者が安易に使用することによって健康被害や乱用につながるおそれが高いものについては、個人輸入における取扱いを見直すこととしてはどうか。その場合、例えば、原則として、個人輸入には医師の処方せんや指示を要することとしてはどうか。
無法地帯な個人輸入の現状を考えると、「健康被害や乱用のおそれがある成分のみ個人輸入の取り扱いを見直す」のは難しい気がします。
「医師の処方せんや指示を要する」案はよく分かりません。
スマートドラッグを個人輸入するよう医師が指示するのでしょうか。
形骸化したり、新たな問題が発生しないか心配です。
「スマートドラッグ」を含め、医薬品を適正な目的・方法で使用することについて、児童・生徒やその保護者を含め、国民に対する啓発を強化していくこととしてはどうか。
その通りだと思います。
情報を持たない人が「スマドラ」で検索した場合のリスクはかなり高いように感じます。
利用者が受験等で追い込まれている状況を考えると尚更です。
医薬品等の個人輸入について
国内で処方を必要とする薬でございましても、現行、1カ月以内であれば、原則、国内での使用を認めているという形になってございます。
未承認の薬を個人輸入するのは分かりますが、処方箋医薬品を個人輸入できる制度が必要な理由がよく分かりません。
注意をする必要がある医薬品、代表的なものでサリドマイドという薬でございますけれども、こういったものがリスト化されておりまして、原則、個人輸入は禁止とした形で、あくまで医師の処方があるといいますか、医師がいいといった場合だけ、薬監証明というものをとってもらった上で税関を通過させるという手続になってございます。
詳細はこちらのリンクより確認できます。
医薬品等の個人輸入について|厚生労働省
今後の対策予定
最終的な予定案として主に2点あげられていました。
- いわゆる「スマートドラッグ」をインターネット検索等によりリストアップし、医療関係団体、関係学会等の意見を踏まえて、取扱いを検討する。
- 文部科学省と連携し、児童・生徒やその保護者に対して、いわゆる「スマートドラッグ」を含め、医薬品の適正な使用に関する啓発を強化する。
効果も副作用もないようなサプリも、依存性のある個人輸入の医薬品も、全てを「スマートドラッグ」と称することにひとつの問題があり、リストアップは重要です。
しかし、依存性がある成分を子供が服用する可能性を考えると、早急な啓発が望まれます。
文科省と連携できるのであれば、例えば学校からプリントを配布するだけでも多少の効果はあるのではないでしょうか。
また、本会議を受けて「原則禁止へ」との報道がありましたが、議事録を読んだ限りではそこまでの印象は受けませんでした。
スマートドラッグ、個人輸入を禁止へ 記憶力向上うたう:朝日新聞デジタル
個人輸入に関して、厚労省の「個人輸入代行業の指導・取締り等について」は平成14年に発行されたようなので、時代に合わせた対応が必要だと感じます。